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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)654号 判決 1955年1月28日

控訴人 野口 光

被控訴人 浦和地方検察庁検事正 外二名

訴訟代理人 加藤隆司 外一名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、一、原判決を取り消す、二、被控訴人検事正は(イ)控訴人が昭和二四年二月五日青木留吉、大武豊を告訴した事件につき浦和地方検察庁検察官検事鈴木近治が控訴人をして同年三月中告訴を取り下げさせた処分、(ロ)昭和二四年七月七日同庁検察官検事竹内弘が控訴人に対し公訴可能性を濫用してなした被疑者決定処分、(ハ)昭和二五年二月二五日及び同年三月六日同庁検察官検事富岡誠が控訴人に行政権を干犯し司法権を濫用したる処分、(ニ)昭和二六年一月一六日同庁検察官検事武井清一が控訴人に対し行政権を干犯し司法権を濫用してなした被疑者決定処分、(ホ)控訴人が昭和二五年三月二四日、同年四月二八日、同年五月一二日(控訴状訂正書中、「二十二日」とあるは誤記と認める。)及び同年六月六日南埼玉郡黒浜村長外数十名の控訴人に対する基本的人権侵害について告訴した事件を同庁検察官検事矢実武男が同年一〇月六日及び同年一一月三〇日不起訴可能性を濫用して控訴人の基本的人権を侵害した処分、(ヘ)控訴人が昭和二六年五月中吉沢郁太郎外一九名に対してなした団体等規正令その他告訴事件につき同庁検察官検事長谷岳が不起訴可能性を濫用して控訴人の基本的人権を侵害した同年九月中の検察処分及び(ト)控訴人が昭和二六年七月二日、同年一〇月二日及び昭和二七年七月三〇日浦和地方裁判所裁判官西幹殷一外八七名を職権濫用その他で告訴した事件について同検察庁検察官検事大久保重太郎が昭和二七年一二月二二日控訴人の基本的人権を侵害して職権を濫用してなした検察処分をいずれも取り消すべし、三、被控訴人警察署長は国家地方警察岩槻地区警察署長細田行義が昭和二五年一月一三日巡査部長大橋森江、巡査海野光秋に命令してなさしめた同月一六日出頭すべき旨の控訴人に対する出頭命令及び同年二月二五日巡査部長大橋森江をして控訴人を逮捕せしめた処分を取り消すべし、四、被控訴人法務大臣は(イ)控訴人が昭和二五年一月一七日附で同被控訴人に上申した事件につき同年八月一七日附で人権擁護局長の名において調査打切を控訴人に通告した控訴人の請求却下と同一の決定をなしたるとみなされる却下の決定及び(ロ)控訴人が昭和二六年七月二四日東京法務局人権擁護局に請求した人権侵害救済に対し昭和二七年一月二四日控訴人の請求却下と同一の決定をなしたるとみなさるる却下決定をいずれも取り消すべし、五、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の負担とする、との判決を求め、被控訴人等代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は原判決の事実摘示のとおりであるからここにこれを引用する。

理由

控訴の趣旨二、三、四はそれぞれ原判決事実摘示に控訴人の請求の趣旨として表示してある甲(一)ないし(三)、乙、丙(一)と同旨と判断されるところ、当裁判所も亦原審同様検察官又は警察職員の控訴人主張の如き行為、人権擁護部人権擁護局長の控訴人主張の如き態度、措置はいずれも行政訴訟の対象とならないものであり、これ等についての控訴人の本訴請求は結局請求自休裁判所の裁判権のない事項を目的とするものとして却下すべきものとする結論に到達したのでここにこの点についての原判決の理由の説明を引用することにする。

然らば本件控訴は理由がないことになるから民専訴訟法第三八四条第一項、第九五条、第八九条を適用して主文の如く判決する。

(裁判官 薄根正男 奥野利一 古原勇雄)

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